2012/11/04
【再録】諸行無常なる白骨の御文章
(平成23年4月29日発行第227号の再録です)昨日(4月28日)は、東日本大震災から四十九日でした。
津波に飲まれ命を落としてしまった友人の通夜がありましたので、
参列し、最後のご挨拶をしてきました。
そのお寺も周囲は、
津波の爪痕が感じられましたし、
お坊さんも法話の中で、
檀家さんが30人ぐらい亡くなられた、
とおっしゃり、何とも言えない表情をされたのが印象的でした。
故人に手を合わせながら感謝しながら、
法話の中に印象深い「諸行無常」のお話がありましたので、
みなさんにご紹介したいと思います。
蓮如上人の「諸行無常」の話とのことで、
以下にそのお話を引用したいと思います。
【現代語訳】『蓮如の手紙』国書刊行会/浅井成海 監修 より)
───────────────────────────────
【引用ここから】
さて、人間というもののよるべない有様を心を静めて見つめれば、
「およそ儚ものとは、人がこの世に生を享けてから去ってゆくまでの始中終、幻のような一生である。
これだから、人が一万年の寿命を受けたとはいまだかつて聞かない。
一生はすぎやすいものである。
末世の今にいたっては、いったい誰が百年の姿形を保ちえようか。
われが先か、人が先か、命の終わりを迎えるのは今日とも知れず、明日とも知れない。
先立たれる人、先立つ人、それは草木の根もとの滴がしたたり落ちるよりも、葉先の露が散りゆくよりも多く、人の死の前後はうかがい知ることができない」
と先人は言っています。
ですから、朝には美しい生き生きとした顔をしていても、夕には白骨と化してしまう身です。
無常の風がさっと吹いたならば、二つの眼はたちまちに閉じ、命の息は永遠に絶えてしまいます。
美しい顔も空しく変わりはて、桃李のような愛らしい姿も失われてしまったなら、親族たちが集まって嘆き悲しんでも、もはや何の甲斐もありません。
いつまでもそうしてはいられないので、野に送って荼毘に付し、夜半の煙となりはてれば、ただ白骨だけが残ります。
あわれといっても、なおいい足りません。
人間の儚いことといえば、老いて死に、また若くしても死ぬこの世ですから、どなたも早く浄土往生の一大事に真剣に心を向けて、阿弥陀仏にお従いして、お念仏を申すべきです。
あなかしこ、あなかしこ。
【引用ここまで】
───────────────────────────────
蓮如上人の「白骨の御文章」という有名な一節だそうで、
私は宗教にはあまり詳しくないのですが、
諸行無常の意味がかみしめられるお話でした。
法話のなかでこんなお話をされました。
今日こうやって一人の方の命が失われたことを
嘆き悲しんでいるみなさんも、
この次の瞬間に大きな地震が起きて、
このお寺の屋根が崩れ落ち、命を落としてしまうかもしれません。
今日帰りに車で交通事故に遭い、
命を落とす人もいるかもしれません。
朝にはイキイキとしていても、
夕方には白骨になっているかもしれないのです。
諸行無常です。
しかし、だからこそ、私たちはいまを一生懸命生きなければならない。
そのようなお話でした。
なるほどと思いながら、その後に
喪主の方のご挨拶があったのですが、
その途中に大きな余震が本当に来て、
参列したみなさんも動揺されていました。
まだ地震は終わっていません。
友人の死を悲しむ自分が、
明日には死んでいるかもしれない。
自分より長く生きていくはずのわが子が
自分より早く死んでしまうかもしれない。
行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。
諸行無常だからこそ、
生きている今、
この瞬間を大切に生きたいと
あらためて感じました。
(第227号 平成23年4月29日発行)
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