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ものの本質をつかむ​岡崎嘉平太(全日空相​談役)その2─昭和時​代の私の履歴書

昭和の偉人たちが何を考え、失敗にどう対処し、
それをいかに乗り越え、どんな成功を収めたのか、

日本経済新聞に掲載されている、
自伝コラム「私の履歴書」から
探ってみたいと思います。


私の履歴書─昭和の経営者群像〈6〉



岡崎嘉平太の話の続きです。

岡崎が人生を振り返って
若いころに受けた教訓の話をしていますが、

近江銀行頭取の池田経三郎の話を書いています。



その昔、岡山出身の在京学生たちが、
共同生活を始め、これを後輩に伝えて、
寄宿寮となりました。

それを精義塾と名付けて、
郷里から後輩がくるとそこへ泊め、
お互いが切磋琢磨する場所となりました。


しかし、これは県の補助や旧藩主からの助成ではなく、
当時東京にいた先輩たちが中心になり、

県出身の他の人からも金を集めて、
維持金というものを作っていました。

当時の維持金は一万円というかなり大きな額。
維持会会員は月賦や年賦で金を払い込むシステム。


それが目標の一万円に達した時に、
管理を精義塾に移そうという意見が出てきました。

募金はもう続けないのだから、
維持会も解散し金は精義塾に渡し、
塾生に管理させようと。



近江銀行頭取の池田経三郎は大阪の維持会員の一人で、
精義塾発祥のころ塾にいた人物でした。

池田に維持金を精義塾の管理に移すことの
了解を得なければならないということになり、

当時大学二年生であった岡崎が
池田に話をするよう委託を受けることとなります。


岡山へ帰省の途中、大阪の池田のもとへ向かう岡崎。

池田は岡崎を歓待し、
自宅にひと晩泊めます。

翌朝岡崎は用件を話したところ、
池田は、

「君は何でそういう話を持って来たのか」

と言われます。


そこで岡崎は、

「東京の維持会の先生方が池田先生にこのことをお話してご了解を得るように、
 といわれましたからお伝えに来たのです」

と答えます。すると池田は、

「君はどう思うのだ」

と岡崎に質問してきました。


岡崎は、

「どう思うって、私は維持会の人間ではないのですから、
 東京の維持会の決議をお伝えするだけです」

と答えます。


「君は郵便屋と同じなのか」

「そうです。私は東京の決議をお伝えして
 ご了承が得られるかどうかをお聞きしてくるように、
 と言われたのですから・・・」

「君は伝達機関だね」

「そうです」

「だめだ。君は口で物を言っている」


とこうしたやりとり。


岡崎は、

「私は口以外ではものは言いません」

とがんばります。すると池田は、

「いや、ものは腹で言うものだよ。
 きょうは君の話はもう聞きたくない。

夏休みでこれから郷里へ帰るのだろうから、
 四十日くらいよく考えて、上京するときにもう一度寄りたまえ」

と言って、あとは話題を変えてしまわれます。


このあと岡崎は三回ぐらい池田を訪ねますが、

「お前も塾の精神がわかっていないのか」

と受け付けてもらえず、
岡崎が大学を出た翌年、
池田は亡くなったのでした。



池田の葬儀のときに、
大阪にいた精義塾の先輩が

「岡崎くん、あの問題について池田先生から直接君にお許しが出なかったけれども、
 あれは君を教育するために言っていたのだよ。
 だから池田先生を恨んではいけない」

と言われます。
しかしその時は岡崎には池田の真意がわかりませんでした。


しかし後になって、
池田の真意が、

「塾の維持会というものをやめてお金の残高(維持金)だけを塾がもらっていいのか。
 それがどういうことを意味するのかを君は本当に知っているのか。
 そのことがいいのか、悪いのかを君は判断してきたのか」

と岡崎にただしたのだということがわかります。


池田は以前から、
精義塾のようないいことに対しては、
外から常に応援すべきであり、
したがって維持会をやめる必要はない、という意見でした。

だから、東京の維持会のほうの金が集まったから
残高を塾に渡せばいいという考えは根本的にまちがっている、
と強く反発していたのでした。


それを知り、岡崎ははっとします。


────────────────────────────
【引用ここから】


なるほどほんとうの郵便屋なら内容はどうであろうとかまわないが、
学生が、しかも精義塾にいる者が、

その問題の内容を十分知って、
維持会の金をもらうのがいいのか、
維持会は維持会としておいておくのがいいのか、

その判断もしないで郵便屋のようなことをするのはいけない。

それを強く教えてやろうという意味で、
池田先生は二度、三度会っても内容を言わずに、

「だめだ。承知できない」

と言っておられたのです。

私はほんとうにありがたいと思いました。


【引用ここまで】
────────────────────────────


岡崎はその後課長、重役になってからも、
人が案を持ってきたら、

「君はこの案についてどう考えているのか」

と聞くようになったそうです。


そして、

「私はこの案について別にどうという意見はありません」

と答えられると、

「それではだめだ」

と言ったのだそうです。



────────────────────────────
【引用ここから】


それで、
どんなことでも文字どおりの伝達機関になってはだめだ、
自分自身で理解しなければどんな問題でも取り次いではいけない、

取り次ぐ以上は賛否はともかく、
内容は理解しておかなければいけない、

と考えるようになりました。



【引用ここまで】
────────────────────────────


この体験から岡崎は、

何よりもまずものの本質をつかまなければいけない

と考えるようになったそうです。


池田先生から受けたありがたい教訓と岡崎は述べています。


この岡崎のエピソードは、
社会に出始めたばかりの若者にとっては、
よくある話ではないでしょうか。

単なるメッセンジャーボーイではいけないということは、
私もよくお叱りを受けたなあと思いだします。

たとえメッセンジャーボーイだとしても、
そこでものの本質は何かということを
常に考える、

この態度が大事なのだろうと思いました。







私の履歴書─昭和の経営者群像〈6〉
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