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社員全員で奮い立たせて努力するパナソニック


昭和の偉人たちが何を考え、失敗にどう対処し、
それをいかに乗り越え、どんな成功を収めたのか、

日本経済新聞に掲載されている、
自伝コラム「私の履歴書」から
探ってみたいと思います。


私の履歴書─昭和の経営者群像〈3〉




松下幸之助のお話の続きです。


昭和25年になると、戦後のさまざまな制約も次第に解除され、
ようやく本来の企業活動ができるようになりました。

昭和26年、幸之助はこれからは世界的視野に立って
謙虚な気持ちをもって海外に学ばねばならないと
アメリカに三カ月滞在しました。

アメリカの豊かさには驚くばかり。

GE社の工員は、自分の作っているラジオを
日給換算でいうと、二日働けば一台が買える計算に。

しかし当時の松下電器のラジオは、
一ヵ月半働いてやっと一台が帰るという計算。

幸之助は日本の現実がしのばれ、
「ぜひともアメリカのようにしなくては」
と決心します。

ニューヨークでは真昼でも電気がこうこうとついている。
当時のニューヨーク市の電気使用量は一日400万キロワット。
それはちょうど日本全体の使用量と見合うぐらい。

毎日一人で街を歩き、
1日に必ず一回は映画を見た。

英語は全くわからないけれど、
画面に変化があり、市民の生活ぶりがよくわかるので退屈しなかったそうです。

ある時、真冬の海水浴場を見に行きたくなり
行ってみると誰もいない海水浴場なのにきれいに整備されていた。

便所をのぞいてもこれが公衆便所かと思うほど。

「きれいだなあ」と感嘆すると、

案内人が

「きれいなのは当たり前だ。そのためにわれわれは税金を払っている」

と。


─────────────────────────
【引用ここから】


私は初めてアメリカの繁栄の原動力をかいま見る思いであった。

日本人は政府に税金を納めたら、政府が何に使おうと無関心である。

自分が義務さえ果たしたら、それでいいと思う。

ところがアメリカは違う。

税金は自分たちが生活や事業を営むうえで必要な政治を
やってもらうためにあるのだと考えている。

私は、このようなアメリカ人の税金に対する考え方に思い至ったとき、
「民主主義というものは繁栄主義だ」と強く感じた。

日本も真の民主主義になったら必ず繁栄する。

私は一日も早く、日本において民主主義の誤りのない普及に
努めねばならないと心に決めたのである。


【引用ここまで】
─────────────────────────


昭和31年、松下電器は「五ヵ年計画」を発表、
向こう五年間で売り上げを四倍にしようという計画でした。

これにはみんなびっくりし、
半信半疑でした。

しかし幸之助は、必ず実行できると信じていました。
なぜなら、これは一般大衆の要望だからと述べています。

社会に対する義務の遂行、大衆の要望を
そのまま数字に表したにすぎないと。

目標の八百億円は、四年目にほぼ達成。
五年後には、一千億円を超える生産販売額となります。



ここで、ちょっと気づいたのは、
目標を幸之助が掲げ、実現できたのは、

「この方針に奮い立った全員の協力で」
「全員協力して販売に努力し」

た結果、という表現が多いなあということです。


社員全員で

奮い立たせて

努力する



これがパナソニックのDNAに刻まれているのかもしれません。
パナソニックの社員の方がこれを読んでいたら、
ぜひ聞いてみたいものです。


松下電器は世界に進出していきますが、
フィリップス社のオランダについての考察や
貿易についての考え方などは勉強になります。


さて、昭和35年幸之助はまたぶちあげます。


五年後に松下電器は週休二日制にしますと。


非常に毎日が忙しくなり、相当つかれる。
五日間働いて一日は余分に休まなければ体はもとに返らない。

アメリカは日本の何倍かの一人当たりの生産をあげている。
二日のうち、半分は高まった生活を楽しむために休み、
半分は疲労が増えぬために休むと。

そこまで到達した時に、世界のメーカーとして互角の商売ができるのだと。


いまでこそ、週休二日は当たり前ですが、
当時はやはりこれも半信半疑。


しかし五年後の昭和40年4月、
松下電器は「週五日制」へと移行したのでした。


昭和36年1月、満66歳の時に幸之助は
社長を退き、会長になると発表しました。

翌37年2月にはタイム誌がカバーストーリーで幸之助を取り上げます。
一介の小僧から成功した人間をアメリカ人は高く評価します。

そして翌38年に開かれたタイム社の創業40周年パーティーに招待をされました。

副大統領ジョンソンや、ラスク国務長官の祝辞があり、
登壇するごとに全員起立して敬意を表していました。


─────────────────────────
【引用ここから】


そういうことがあって後、私が日本である会合に出席したとき、
当時の池田首相が立って祝辞を述べられたのに、
だれひとりとして起立して敬意を表しようとはしなかった。

日米両国とも同じ民主主義の国であるのに、こんなにも差がある。

特に礼儀に厚いといわれている日本で、政治家に対する礼がアメリカほどでない。

そこに日本の民主主義のはきちがいを感じ

“このままではいけないな”

と思ったのである。


【引用ここまで】
─────────────────────────


東京オリンピックを境に、景気の反動が表れます。
金融引き締め強化、景気の後退と過剰設備の重荷に苦しむことになります。

ここで昭和39年7月、熱海のニュー富士屋ホテルで、
松下電器の全国販売会社・代理店社長懇談会を開き、

幸之助と全国の販売会社二百人ほどの間で喧々諤々の議論が行われたのでした。


これは「伝説の熱海会議」として有名ですね。
リーダーのあるべき姿を学んだように思います。


商売人が政治に手を出すと危ないとよく言われますが、
幸之助は、事業家としてだけにとどまらず、
利を超えた公を考える人物だったのだろうと思います。

工場進出は、利便性や経済効率を要件として考えられるものですが、
松下は過疎地に工場を建てて、地域の活性化に貢献しようとしています。

それが結果としては地域から歓迎され、
松下の名前を高める。

そう考えると、遠回りしているようでいて、
やはり超越した商売人なのかもしれません。








私の履歴書─昭和の経営者群像〈3〉









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