2019/12/07
【渡辺勝幸一般質問】【大綱4】ICT等教育環境の充実について【第370回宮城県議会】

12月4日、
第370回宮城県議会(令和元年11月定例会)において、
渡辺勝幸は一般質問に立ちましたので、
このメルマガで数回に渡って、
一般質問の内容等についてお伝えしたいと思います。
4回目として、
大綱4 ICT等教育環境の充実について
内容をお伝えしたいと思います。
【大綱4】ICT等教育環境の充実について
(1)県立高等技術専門校は、施設・設備の老朽化が著しく、入校生徒数も減少している現状を踏まえ、新たな施設整備や在り方について検討すべき時期に来ていると思うがどうか。
大綱四点目、教育環境の充実についておうかがいいたします。
まず、県立高等技術専門校のあり方についてお伺いいたします。
十一月五日から二十九日にかけて、宮城県庁県政広報展示室において、「ものづくりを支える未来のスペシャリスト展」と題し、宮城県立高等技術専門校の生徒さんによる作品展示が行われました。
数寄屋建築で使われる「捻竿鯱(ねじさおしゃち)」と呼ばれる伝統的な木組み工法の展示や、ホイール・シリング、ピストン、ピストン・カップなど自動車部品の展示など、将来の本県におけるものづくり技術の粋を集めたものと感じながら、私も見学をしたところです。
県立の高等技術専門校は、東日本大震災からの復旧・復興と富県宮城の実現を担う産業人材育成を着実に図るという意味で、本県の将来にとっても重要な施設であり、平成三十年度の就職率を見ると、訓練生が日々技術の習得に励んでいる結果、五校全体で十七ある訓練科のうち、実に十二科で一〇〇%となっており、全体でも九十六%以上となっていて、地域におけるものづくり産業振興に果たしている役割は大きいものがあると考えます。
一方、高等技術専門校の施設の現状を見ると、一番古い大崎校が昭和三十七年度の開校、仙台校と石巻校が昭和三十九年度、
気仙沼校が昭和四十九年度であることから、これら四校の施設・設備は老朽化が著しく、耐震工事やトイレの洋式等の改修のほか、各種の補修を繰り返しながら維持している状況であります。
また入校生の状況については、震災前の平成二十年度には二百五十一名であったものが、令和元年度では百九十三名と約二十三%減少している状況であり、今後も少子化の進展により、ますます厳しくなることが予想されます。
現在は、本県の有効求人倍率が比較的堅調で推移していることなどから、高等技術専門校での訓練よりも就職に流れていることも、入校者数が減少している一因であると思いますが、特に中小のものづくり企業への人材として、高等技術専門校の入校生を確保することは、今後とも重要な取組であります。
また、みやぎ自動車産業振興協議会が平成二十八年に実施したアンケート調査によれば、「新規参入・取引拡大を目指すに当たって、課題となっていること」として、第二位に「人材育成」があげられており、自動車関連産業のみならずものづくり産業の多くの企業から「開発系・生産技術系の人材の育成」が期待されているところです。
高等技術専門校入校生確保のためには、若者へのものづくりへの興味関心を高めるソフト的な対策、例えば、児童・生徒を対象とした体験実習の開催などは継続して実施する一方、現状の老朽化した施設の刷新(リニューアル)を行い、時代のニーズにあった訓練機器の整備も併せて行うなど、ハード面から充実した訓練環境整備を行うことが必要であります。
県では、「高等技術専門校整備・運営プラン」を策定しており、この中で令和二年度までは現在の五校体制を維持することとしていますが、このような現状等を踏まえ、令和三年度以降の高等技術専門校の新たな施設整備やあり方について、業界関係者などから幅広く意見を伺いながら検討すべき時期に来ているのではないでしょうか。
知事の見解をおうかがいします。
(2)国の動きと連動し、教育の質的向上に関する施策に重点的に取り組むことが重要だが、教育のICT化に関する地方財政措置と教育の地域間格差が生じる可能性について見解はどうか。
次に、教育のICT化、情報通信技術を子供たちに提供し、子供たちが学校教育のなかでパソコンを使うための環境整備についてうかがいます。
十一月十三日に開催された政府の経済財政諮問会議において、安倍総理は「パソコンが一人当たり一台となることが当然だということを、国家意思として明確に示すことが重要」と述べ、
ICT環境の整備促進を関係省庁に指示したと大きく報道されました。
文部科学省が進めている「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」は平成三十年度からスタートし、新学習指導要領の実施に対応したICT環境の整備充実を図るため、大型提示装置、教育用コンピュータ、ネットワーク等の整備、校務の情報化やICT支援員の配置等に必要な経費のための地方財政措置が講じられているところです。
しかしこの地方財政措置については大きな課題があるものと私は認識をしております。
過去に私が行った一般質問では、平成二十九年二月定例会の「県内小中学校への新聞配架」、平成二十九年九月定例会の「新生児聴覚検査の公費補助」といった、本来市町村が実施するべきとされている政策が、結果として実施できない状況になっているものがたくさんある、交付税措置をしているものの市町村では事業実施されていないという現状は、一義的には国の、地方を軽視している政策に大きな問題があると考えますが、県としての果たすべき役割も大きいのではないかと考えるところです。
こうした地方財政措置については、先ほど指摘した十一月十三日の経済財政諮問会議の議事録等を詳細に読んでみますと、麻生財務大臣が以下のような指摘を行っています。
「義務教育における学校の管理・運営は、自治体が主体的に行うべきもので、現時点だと自治体のやる気に温度差がある。自治体の理解を得ていくことが不可欠であり、今後、国として更なる支援を行う際には、好事例の創出を通じて、こうした自治体の理解を促進することが最も重要で、その上で地方財政措置を活用しながら普及を図ることが効果的ではないか。」
と述べ、自治体の理解に差があるなかで、国としてさらなる支援に取り組むことについて、懸念があるととらえられる趣旨の発言をされています。
ここで取り上げているのは、教育のICT化でありますが、地方財政措置という制度の下での政策のため、県内市町村を見ても自治体によって温度差があり、予算がICT環境の整備に充てられていない自治体もあることから、今後、教育の地域間格差につながる懸念もあります。
さらに、今後のわが国の大きな流れを想定した場合、初等中等教育については少子化の影響を大きく受け、質を維持しながらも全体の教育関連予算が減少していく可能性は十分にあり得ることと思われます。
本県の中長期的視点から見た教育政策を考えるときに、国の動きと連動した形で、ICT化を含めた教育の質的向上に関する施策に重点的に取り組んでいくことが重要であると考えます。
教育のICT化に関する地方財政措置、教育の地域間格差が生じる可能性について知事と教育長の見解をおうかがいいたします。
(3)県内の子どもたちが十分なICT環境のもとで教育を受けられるよう、ハード面での更なる環境整備を進めるべきだと思うがどうか。
先日、私は青葉山にあります東北大学大学院情報科学研究科の堀田龍也(ほりたたつや)教授の研究室を訪問し、学校のICT化についての課題についてお話をうかがい、意見交換をする機会をいただきました。
堀田先生は、教育工学、情報教育・メディア教育をご専門とされており、学校のICT化について文部科学省の様々な審議会の委員を務めておられるとともに、中央教育審議会の委員として国の教育政策に携わっておられます。
先生からは現状の課題、仙台市内の小学校においてICT化を進めたことで学力が向上した事例、また、学校のICT化は「西高東低」であること、さらに、本県においては登米市、岩沼市、大河原町(おおがわらまち)が積極的に取り組み実績をあげていることなど様々な課題について具体的なお話をいただいたところです。
お話をうかがうなかで、私と堀田先生が同じ意見であったのは、一人一台のパソコンの整備が先か、教員の人材育成が先かという、「鶏が先か卵が先か」という議論について、やはりハードの整備がまず先になければ学校のICT化は進まないのではないかという点です。
そして同時に一部の先生だけではなく、ほとんどの先生がICTについて理解し活用することによって、子供たちに対するICT教育が進んでいくものと思います。
県内の子供たちが十分なICT環境のもとで教育を受けられるよう、ハード面でのさらなる環境整備を進めていくべきと考えますが、県の見解をおうかがいいたします。
以上、大綱四点についておうかがいいたします。
ご清聴いただきましてありがとうございました。
質問内容についてのご感想、
ご意見、ご質問などいただければありがたく存じます。
すべてにお返事はできませんが、
今後の活動に役立ててまいります。
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【渡辺勝幸一般質問要旨】
【大綱1】「復興・創生期間」後における復興について以下3点について知事の所見を伺いたい。
(1)復興庁の設置期限延長は歓迎するものの、技術系職員の確保や心のケア、被災した子どもへの支援など喫緊の課題が山積する中、国の基本方針骨子案に対する見解はどうか。
(2)復興特区税制について、来年度末までに復興事業が完了しない可能性があるため、引き続き、重点化対象地域として認定するよう国に要望すべきと思うがどうか。
(3)「みやぎ食と農の県民条例基本計画」の改訂に当たり、都市農業振興基本法の趣旨を踏まえ、農産物の供給機能や防災、景観形成など都市農業振興策を加味すべきと思うがどうか。
【大綱2】近年相次いで発生している短時間集中豪雨対策について以下4点について知事の所見を伺いたい。
(1)今後も台風19号のような短時間集中豪雨の発生が見込まれるため、河道掘削に加え、排水機場の改良や電気系統の浸水防止など早急に排水機能を強化すべきと思うがどうか。
(2)今回の台風被害からの復興には、農業法人も対象としたグループ補助金の活用や活用しやすい環境づくりなど県の支援が重要と思うがどうか。
(3)今回の台風では、他県におけるダムの緊急放流において情報伝達に混乱が見られたが、我が県における住民告知の体制や準備状況はどうか。
(4)堤外農地の復旧が進まないとの話を聞くが、今回の台風での堤外農地の被害状況や被災した堤外農地の位置付けはどうか。
【大綱3】新たな県民会館・県美術館の集約案について以下3点について知事及び教育長の所見を伺いたい。
(1)県有施設等の再編方針が発表されたが、現時点の新たな県民会館・県美術館の集約案について、今後のスケジュールも踏まえた県の考え方についてどうか。
(2)県美術館を移転する場合においても、建物の歴史的価値や観光資源としての可能性を考慮し、リノベーションによる活用や現在の建物の一部を残した形での活用を考えてはどうか。
(3)現在の県美術館には造形遊戯室があり、子どもが気軽に芸術に触れる機会を提供していることから、新たな美術館においても同様の取組を継続して実施すべきと思うがどうか。
【大綱4】ICT等教育環境の充実について以下3点について知事及び教育長の所見を伺いたい。
(1)県立高等技術専門校は、施設・設備の老朽化が著しく、入校生徒数も減少している現状を踏まえ、新たな施設整備や在り方について検討すべき時期に来ていると思うがどうか。
(2)国の動きと連動し、教育の質的向上に関する施策に重点的に取り組むことが重要だが、教育のICT化に関する地方財政措置と教育の地域間格差が生じる可能性について見解はどうか。
(3)県内の子どもたちが十分なICT環境のもとで教育を受けられるよう、ハード面での更なる環境整備を進めるべきだと思うがどうか。
【一般質問要旨ここまで】
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