2015/12/24
起業家の代償はいつでも先払い
起業したばかりのころは、支払いのすべてが億劫なものです。
売上がまだなかなか上がらないころであればなおさらで、
物を買うにしても、
慎重になりすぎて吟味しすぎて、
結局多くの起業家一年生は、
価格の安いものを選びがちです。
仕入れのある事業であれば、
原材料を少しでも安く買おうとしてしまいがちなわけです。
税理士さんに会計をお願いするにしても、
顧問報酬ができる限り安い人を頼んだり、
チラシを印刷するにも一円でも安い印刷業者を探して、
お願いしたりしがちです。
そんな取引をする起業家は、
一見、優秀な起業家に見えますが、
実はそれは大きな間違いであることがあとでわかります。
安いものはそれなりの理由があるもので、
タダであればなおさら、
タダほど怖いものはないといえるでしょう。
それでは安さではなく何で選ぶか。
それはその商品・サービスを売る人が
信頼できる人かどうか、
この一点です。
少々顧問報酬の高い税理士さんでも、
信頼ある方であれば、その顧客には信頼できる方々が多いわけで、
そんな信頼できる方を紹介していただけたならば、
安いものですね。
むしろそう考えると少々高くても、
こちらから先に払わなければならないことがわかります。
リターンは後になるわけです。
冷静に考えてみれば当たり前で、
起業家というのは経営者一年生なわけですから、
ビジネスの世界では海のものとも山のものともわからず、
先輩経営者からすると交渉相手に足りるかどうか全くわかりません。
信頼できるかどうかは、
初対面ではわからないもので、
取引を継続して徐々に分かってくるものです。
しかし意外と起業家一年生にもかかわらず、
先輩経営者たちの会社から値切ってみたり、
素直に支払いすることなく、
後に延ばしてみたり。
不思議なことに経営の世界では、
「出せば入る」
ということがあり、
思い切って早め早めに支払ってみると、
大きな売り上げがあがったりするものですし、
信頼できる取引相手に、
素直に一回目の提示値段で支払いをすると、
そこから新たな顧客が生まれてきたり。
江崎グリコ創業者の江崎利一は以下のように言っています。
「商売は儲けたり儲けさせたりの仕事である。
売ったり買ったり、便宜をはかったりはかってもらったり、
儲けさせたりの相互利益こそ、
商売の真髄であり、要諦であろう。」
たらいの水のたとえにもあるように、
水を自分の方に引き寄せようとすると、
水は向こうに逃げてしまいます。
しかし、相手にあげようと押すと、こちらにかえってきます。
自分だけ得をしようと思うと、
お金は逃げてしまうわけですが、
相手のために尽くしていると勝手に利益があがっている。
不思議なことですが、
経営の世界はこんなことの連続ですね。
起業したばかりのときは、
そうはいっても恐怖心があって、
一円でも安く取引先から手に入れて、
一円でも高く顧客に売ろうとしてしまいがちです。
この意識は基本のことながら、
とても重要だと最近つくづく思っています。
つまるところ、
代償を先に払う起業家が結局は成功するのではないか、
そんなことを思うわけです。
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