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【再録】学業を終え、豊田自動織機に就職─豊田英二(トヨタ自動車会長)その2─昭和時代の私の履歴書

昭和の偉人たちが何を考え、失敗にどう対処し、
それをいかに乗り越え、どんな成功を収めたのか、

日本経済新聞に掲載されている、
自伝コラム「私の履歴書」から
探ってみたいと思います。



私の履歴書─昭和の経営者群像〈8〉


豊田英二のお話の続きです。

世界のトヨタを生み出した、
自動織機を発明した豊田佐吉のおいとして、
英二は生まれますが、

子どものころから帝王学を学んでいたようですね。


そして大正15年、
英二は愛知一中に入学します。

このころは、愛知一中(旭丘高校)と明倫中学(明和高校)が、
いわゆる名門校でした。


英二は一中の剣道部に入ります。

一中では必ずどこかの運動部に入らなければならず、
なんとなく英二は剣道部に入ります。

学校の一般行事はすべて運動部単位で運営されたのでした。

クラスはすべて成績順。

剣道の稽古にいそしみましたが、
成績はそう悪くなかったようです。


英二は中学を四年で修了し、
第八高等学校に入学します。

理科クラスに入学したのでした。

高校では剣道をやらず、体操部に入ります。
体操が好きなのは、相棒がいなくても一人でやれるからと。

夏休みなど長期休暇はだいたい旅行をしていました。
高校に入って、山登りとスキーを覚えます。


高校の夏休みの一時期は、
必ず豊田の紡織工場で実習をやらされます。
そのとき父は日当はくれませんでした。

あとでわかりますが英二は中学生の時に、
豊田押切紡織の常務に知らないうちになっていたり、
工場拡張の際父の借金の連帯保証人になっていたそうです。

個人会社はその辺のところが怪しげだ、
と英二は述べています。



昭和8年、東京帝国大学に入学します。
専攻は工学部機械工学科。

最初の一年は本郷の下宿屋で過ごし、
二年と三年は小石川の竹早町にあった愛知県の学生寮に入ります。

三年の夏休みには工場実習として、
神戸の川崎車両に一か月行きます。

大学卒業時には、優秀な成績を修めた学生がもらえる「ウエスト賞」をもらいました。



昭和11年、佐吉のつれあいの浅子おばさんが亡くなり、
その葬式から帰って間もなく、
二・二六事件が起きます。

この日の朝は、昼近くになってもそれほど人が来ない。
だんだん仲間が来て事情が分かってきました。

要するに陸軍が謀反を起こして大騒ぎになったと。


そうこうするうち、

「東大は左翼が多いから陸軍にねらわれている。
 兵隊が乗り込んでくるかもしれない」

といううわさが流れます。

二・二六事件は一週間ぐらいで片付きます。



英二は、自動車用のディーゼルエンジンの図面を提出し、
教授からの卒業口頭試問を受けました。


就職活動については、
担当の先生から呼び出され、

「君は役人になるのが希望ですか」

と聞かれます。
エンジニアでも鉄道省や陸海軍に行く人が多かったのでした。

英二は即座に

「役人はきらいです」

と答えます。

「それなら民間のいい会社から求人がきてますが、どうしますか」

と。

「夏休みに家に帰ってよく考えてきます」

と答えましたが、後から聞いてみると
この会社は日立製作所だったようです。



夏休みに佐吉の長男で、
トヨタ自動車の創業者でもある喜一郎に相談をします。

英二はある程度他人のメシを食って、
それからトヨタの仕事をやっても遅くはないと考えますが、
喜一郎は、


「せっかく自動車をやりかけたのだから、
 よそへ行くよりうちに来い」


と言います。

押切工場の跡継ぎにと父は考えていたようですが、
喜一郎が

「英二はおれがもらうよ」

と言って横取りしたのでした。


正式に就職希望を出すことになり、

「就職」の項へ棒を引いて出します。

学校からは、

「君については学校の方で、
 本当に何もせんでいいのだな」

と念を押されたので、「ハイ」とだけ言って帰ってきました。

この一語で自動車屋となったのでした。


喜一郎と英二はいとこにあたるのですが、
喜一郎は自動車をはじめたばかりで、
手ごろな子分がおらず、英二にだいぶ期待したようです。


豊田自動織機が自動車を始めることを決めたのは、
英二が大学に入った昭和8年12月の取締役会のことでした。

英二は大学を卒業して、
豊田自動織機に入り、自動車部に配属されます。


まず最初に喜一郎からもらった命令は、

「芝浦に自動車の研究所をつくれ」

というものでした。





続きはまた来週に。











私の履歴書─昭和の経営者群像〈8〉



昭和の高度経済成長を築きあげた経営者たちの私の履歴書。
過去の記事はこちらからどうぞ。







(第686号 平成24年7月31日(火)発行)
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