2013/11/15
国家は心をあわせ仲よくすること、人は忠孝の念を持つことがまず重要である
天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず。
この言葉は有名な一節ですが、
これを逆さに考えてみましょう。
味方の協和、
すなわち心をあわせ仲よくすることができてはじめて、
地形の有利さも、自然の条件も役に立つのです。
それゆえ、国家の務めを論ずる場合には、
まず味方の協和について考えなければならないのです。
人々の協和が得られたならば、
そのうえで城池を堅固にするのがよろしい。
武器も鋭利にするのがよろしい。
食料も豊かにするのがよろしい。
戦闘となれば自然条件も選んで利用するのがよろしい。
これを人の身体にたとえてみると、
心の中に「忠孝の念」があるならば、
味方の軍が協和を得ているのと同じであります。
この「忠孝の念」があるなら、
そこで学問も修めるがよい。
武芸も練るがよい。
これは、自然条件や地形の有利に似ています。
それゆえ、「忠孝の念」のないものに、
学問・武芸を学ばせ、
武器を蓄えさせたならば、
それはかえって害となり、
その身を全うすることができぬ本になるものなのです。
これは、協和を得ないで、
いたずらに自然条件や地形の有利を恃みにするようなものです。
国家も、
身体も、
道理は一つです。
一身・一国より、
国、天下に、一貫した原理が存在しているのです。
そうであれば私たちは、
事に当たって、
何が先で何が後か、
何が急で何が緩かという区別を、よく観察しなければなりません。
ということを約150年前の日本において、
政治犯として牢屋の中にありながら、
囚人と看守に対して
熱心に教えた人がいたのでした。
その政治犯は間もなく
斬首刑になってしまいます。
そして時は立ち、
その政治犯の弟子たちが、
明治維新の原動力となり、
日本を変えていったのでした。
この本をときどき繰り返し読んでいます。
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