2020/09/21
人事は「賞禄有功」で
昭和時代の陽明学者、安岡正篤は、歴代総理の指南役ともいわれた人物でした。
安岡は東洋思想に基づいた人物学を残しています。
私も安岡著書を読んできましたが、
人生経験を経るにしたがって、
昔は読んでも意味が分からなかったことが、
なるほどこういうことだったのかと感じることが多くなってきまし
「人事」について、安岡は以下のような指摘をしています。
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【引用ここから】
東洋には人間を二つに分けて、
仕事のできる才能の有る者と、
人を率いて行く徳の有る者とを別にしている。
どんなに仕事ができても、手柄があっても、
それ故に地位を与え、禄を与えて人を支配させてはいけない人があ
又これといって仕事ができないでも、
その地位にその人を据えておれば、自然に治まる人がある。
これを使い分けることが東洋政治哲学の人事行政の根本問題である
これが「賞禄有功」である。
これは『南洲遺訓』にも喧(やか)ましくいっているところであり
熊沢蕃山が強調して徳川幕府からにらまれた点でもある。
【引用ここまで】
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これはどの組織にでも
当てはまることがあるのではないかと思います。
仕事ができる人ではなく、
徳のある人に要所の人事を図る。
賞を与えても地位を与えないという手法。
また自分自身を磨くことを考える際にも、
仕事のできる人物になるのか、
人を率いる人物になるのか。
いろいろと考えるところがある「賞禄有功」です。
⇒ 安岡正篤著、安岡正泰監修「安岡正篤 活学一日一言 (致知一日一言シリーズ) 」