2018/03/30
「怒りをかくさず、怨みをとどめず」
「怒りをかくさず、怨みをとどめず」怒りを隠さず、
怨んでもそれをいつまでも根に持つことがない、
という二句が、とりわけよい。
この問題は、弟に対する時だけでなく、
仁のある人の心は、
他のすべての人々に対してもこのようなものです。
『論語』に、
「怨みをかくしてその人を友とすることは、
先輩の左丘明も恥ずかしいとしましたが、
私もまた恥ずかしいと思う」
とありますが、それも同じ意味です。
凡そ人と交際する道は、
もし相手に対し怨み怒ることがあったならば、
直ちにこれを忠告直言すべきものです。
もしそれができなければ、
むしろ怨み怒らないほうがよい。
もしそうでなくて怨み怒りを胸のうちに隠しておき、
折を見てこれをはき出そうと思ったならば、
それは陰険な小人の行為であって、
まことに臆病だといわねばなりません。
君子の心は天のごとくです。
そうであるなら怨み怒るところがあれば、
激しい雷が落ちるような怒りを発することもありますが、
そのことが納得いくならば、
また青空や太陽のごとく、
少しも心のうちにそれを残すことがありません。
これがいわゆる、
明るくして剛毅な、
君子の陽剛の徳というものであります。
ということを約150年前の日本において、
政治犯として牢屋の中にありながら、
囚人と看守に対して
熱心に教えた人がいたのでした。
その政治犯は間もなく
斬首刑になってしまいます。
そして時は立ち、
その政治犯の弟子たちが、
明治維新の原動力となり
日本を変えていったのでした。
この本をときどき繰り返し読んでいます。