どんな思い?“橋下塾”に集う人々(NHK NEWS WEB)3月27日 18時25分
大阪市長の橋下徹氏が率いる大阪維新の会。
24日に開いた政治塾には、全国から2000人の受講者が集まりました。
維新政治塾に集う人たちに共通するのが、強い危機感が覆うこの日本で今の政治は決断ができずにいるという不満です。
全国から集まった約2000人
北は北海道から南は沖縄まで、開講式におよそ2000人が集まった「維新政治塾」。
大阪維新の会の代表、そして維新政治塾の塾長を務める橋下氏は、受講生を前にこう呼びかけました。
受講生は年齢も職業も実にさまざま。
衆議院選挙を目指す人に加え、政治家を志望していなくても大阪維新の会の政策を学びたいと参加した人もいます。
受講料は年間12万円。
月2回のペースで講義を行い、衆議院選挙に向けた政権公約となる「維新八策」を巡って議論を交わすほか、街頭演説の実習なども織り込み、候補者の養成に取り組む方針です。
受講生の中には「今の日本の状況に危機感を持って何かできることがあればいいなと思った」という大阪の弁護士の男性や「変わる現場の当事者になりたい思い」という東京の会社員の女性、さらに「血沸き、肉躍るという感じがしたので、今一度青春を迎えたい」という神戸市の70歳代の男性もいました。
既成政党の視線さまざま
国政進出に向け、本格始動した政治塾。
「永田町や霞が関だけで日本一国を動かすのは無理」と従来の枠組みへの挑戦状を突きつけられた形の既成政党は複雑な視線を送っています。
▽民主党 前原政調会長
「考え方を同じくするものについては協力をし、違うものについてはしっかりと考え方を戦わせるということが民主党としての基本スタンスでございます」。
▽国民新党 亀井政調会長
「橋下市長、有名な人ですけれども。ちょっと騒ぎすぎじゃないかなと」。
▽自民党 谷垣総裁
「橋下さんの問題提起の中にも耳を傾けるべきものはあるんですね。なかなか、ちょっとどうかなと思うのもたくさんあります。物事が決まって進んでいくようにすれば何も恐れることは私はないんだと思います」。
▽公明党 山口代表
「こうした現象に寄せられている民意というものも、われわれは謙虚に受けとめていかなければならないと。協調すべきは協調し、そしてまた言うべきことは言うと」。
▽みんなの党 渡辺代表
「地域主権を掲げる勢力が第一極を狙う。考え方は完ぺきに一致を致しております」。
▽共産党 市田書記局長
「国民の閉塞(へいそく)状況につけこんで、新しい装いを凝らして、ファッショ的・独裁的な政治をやろうとしているのが本質」。
▽社民党 福島党首
「思想・良心の自由を踏みにじるアンケート調査をするような橋下さんのところに人々が殺到することは政治の大きな危機だと思います」。
▽たちあがれ日本 園田幹事長
「既成政党のわれわれは、大いに刺激を受けて考えなきゃいけない」。
維新政治塾に集う人たちは
東日本大震災からの復興を前に進めたいという思いで維新政治塾に参加した人がいます。
仙台市の渡辺勝幸さんです。
渡辺さんは、今の政治の在り方が復興の遅れをもたらしていると考えています。
地元で毎朝、街頭演説に立つ渡辺さん。
去年11月、宮城県議会議員選挙に無所属で立候補して落選。
復興が思うように進まない現状を政治家となって動かしたいと今も考えています。
渡辺さんの地元、仙台市若林区は津波で大きな被害を受け、300人以上が亡くなりました。
本格的な復興を目指す第3次補正予算が成立したのは震災から8か月後。
被災した支持者たちは、復興に向けた政治決定が遅いと口々に訴えます。
この日渡辺さんが訪ねたのは、地元で20年以上にわたり建設会社を営んできた女性です。
津波で自宅と社屋を流され、再建の見通しが全く立たないといいます。
政治の現状に不満を募らせる渡辺さん。
仙台から遠く離れた大阪維新の会に注目しました。
渡辺さんは橋下氏が既成政党にはできない変化をもたらすのではないかと期待しています。
渡辺勝幸さん:「橋下さんの危うさとかそういったご批判はあるかもしれませんが、決断することが政治に今いちばん求められているのではないかというように感じています。復興の面に関して言えば、被災地の視点で復興を作り上げていかなくてはいけない。その点に関して非常に共感を持ちました」。
みずからの経験や専門知識を政治に生かしたいと維新政治塾に参加した人もいます。
大学講師として国際政治を教える恵木徹待さんです。
国連機関や海外にある日本大使館で働いた経験がある恵木さんは、交渉の現場で日本の外交が強い姿勢を取らないことに危機感を抱いたこともありました。
恵木さんが注目するのは橋下氏が「国がもっと外交に力を注ぐべき」だと主張している点です。
恵木徹待さん:「橋下さんが、首相は年の半分以上は海外に行けという提案がありました。180日分は外交防衛のことをちゃんと考えて、首相が海外に目を向けなさいと言う維新の考えはそのとおりだと思っています」。
恵木さんは、橋下氏を見て、政治家に興味を持つようになりました。
この国をどう変えていくべきか、友人たちと語るようになっています。
これまで政治に足がかりはなかった恵木さん。
政治塾での選抜に残っていけば、将来的に政治家として活躍したいと考えています。
恵木徹待さん:「選んでいただいたり評価していただくのは自分以外の人間ですから、まずは真剣に真面目にやるということしかないと思っています。万が一、チャンスを与えていただけるのであれば外務大臣になりたいです」。
6月めどに1000人程度選抜へ
もたれ合いではない、自立した個人、地域、そして国家であることを理念とし一糸乱れぬ政治集団を作りあげたいと橋下氏は強調しています。
「維新政治塾」に集まった2000人余りのうち、正式な塾生として選ばれるのは半数の1000人程度。
受講生たちは6月をめどに行われる選抜に向けて論文やディベートなどに取り組みます。