2015/04/10
子供の声は騒音か?─東京都の改正環境確保条例施行
PTA会長をやるようになって、小学校へ出入りする機会が増えました。
また近所に幼稚園があるので、
小さい子供たちが元気よく遊ぶ姿をよく見かけ、
ほのぼのした気分になります。
しかし、この風景を、
ほのぼの思う人ばかりではなく、
子供の声を聞いてイライラし、
騒音だということで近隣とトラブルになるケースが
都心を中心に増えてきているようです。
私の住む仙台でも、
子供の声がうるさいからなんとかしてくれと
町内会に要請が来ることもあると聞いています。
東京都内では、
認可保育所近くの路上で、
園児を迎えに来た保護者に手斧を見せ、
地面に数回振り下ろすなどして脅迫したとして、
近所の無職の男(43)が暴力行為処罰法違反の疑いで逮捕された、
こんなケースもあるそうです。
また東京都練馬区の認可保育所では、
一部住民が「平穏な日常生活を害された」として
運営会社を相手取り、
騒音の差し止めと慰謝料などを求め東京地裁に提訴。
何か違和感を感じますね。
ドイツでは2011年に、
子供の騒音に寛容な社会をめざすため、
連邦環境汚染防止法を改正、
託児施設や公園などの騒音は
「環境への有害な影響を与えるものとは認めない」
とする新たな規定を盛り込みました。
この背景には、
ドイツでも子供の騒音に対する訴訟が相次ぎ、
保育所の運営が制限されたり、
禁じられたりするケースが出てきたことへの対応なのだそうです。
この4月1日、東京都は、
子供の声を騒音の数値規制の対象から除外した
改正環境確保条例を施行しました。
都内は保育所の定員超過などで入れない「待機児童」が多く、
都は条例改正で、保育所を建設しやすい環境づくりを図るそうですが、
子供の声は騒音なのかという議論が展開されているようです。
あるサイトで、
マンションの管理人さんが、
子供の声を騒音として寄せられた苦情に対し、
自分たちも子供のころに迷惑をかけてきたことを
忘れてはいけないという意見書を書いた
という話が紹介されていました。
「子供の声がうるさい。騒音」住民から寄せられる苦情。
それを見た管理人が配布した「意見書」が胸に刺さる
私個人としては、
子供の声が騒音と言われると、
とても違和感を感じます。
このマンションの管理人さんではないですが、
いま思うと自分たちもうるさかったなあと、
近所に迷惑をかけていただろうなあと思えば、
少々のことは我慢しないとなあと思います。
そして東京都の条例のように、
子供の声が騒音かどうかを判断しないといけない
というのもまた残念なことであり、
本来法規制の議論になる以前に
私たちの社会で解決しなければいけないことなのだろうと思います。
一方で小さな子供を持つ私たち親の責任もあるのだと思います。
例えば公共の場所などで
騒いで奇声を上げ続けている子供には、
親がしっかりと教えていかなければならないでしょうし、
周囲への配慮ということも、
少しずつ教えていかないといけませんね。
いずれにしても、
おたがいがおたがいを思いやり、
また寛容な気持ちを持つということが必要です。
このままいくと、
それぞれの立場で自分たちの主張だけがひとり歩きし、
結果として住みづらい世の中になっていってしまうような気がしてなりません。
法規制で本質的に解決できる問題もあれば、
法規制以外の住民同士の思いやりが
本質的解決をもたらす場合もあるでしょう。
このように
住みよいまちづくりは、
なかなか簡単なことではありませんが、
思いやりと寛容性ということも大事なことだと思います。
むずかしい問題ですが、
解決が必要な問題です。